リアルネネちゃん。
娘が保育園の一つ二つ上のお姉ちゃん達に異様な人気だ。
朝保育室へ連れて行くと数人がその名を叫びながら抱き付いてきて熱狂する様は、まるでアイドルのそれで、親の僕としては「まぁ、娘は可愛いからな…」と天狗になる次第。
そんな娘もボチボチ三歳になる。ジイジからクリスマスに何を買おうかと相談されたので、最近よくヌイグルミのお世話をしてるので、お世話人形などどうかと。
メルちゃんである。
正確には、メルちゃんの妹、
ネネちゃんだ。
箱を開ければ予想通りの食い付き。
女の子というのは、やはりお世話が好きなのだろうか…。
しかし息子も一緒になって遊んでるので、一概には言えないのだろうけれど。
とにかく、ネネちゃんはイケている。
寝かせば瞼を閉じ、入浴可能な水陸両用仕様、加えて熱で変色する頭髪。
なにより、
クリクリの目。豊かに膨らむホッペに押し寄せられた小さな唇。そしてまん丸の顔。
さっさく僕は子供らをネネちゃんで誘導して風呂に入る。
ネネちゃんの足首を掴んで振り回す乱暴な娘だけれど、時に甲斐甲斐しく相手する娘を見て息子が、堪え切れないと言った様子で笑いだした。
「妹に似てる笑」
あ、ホントだね笑、と、僕も一緒に笑いだす。見れば見る程、なんなら体型も似ているので、どんどんジワって息子とクスクス風呂場を出た。
そして子供らの頭をバスタオルでゴシゴシとやりながら、
大事そうにネネちゃんを抱きしめる娘をみて、やはりこの手のオモチャは母性本能に働きかけてるようにも見えるし、
母性本能で無いとしても、
とにかく女の子はママの真似をしたがるモノなのかも知れないと。
人形相手に「おむつ替える?ミルク飲みましょうね〜?」とやってる様子は、ママの見様見真似な事は間違いないし、勘違いしてはいけないのは、家事育児を父親がメインでやっていても、娘はパパの真似をしない、という事だろう。
ママが育児を全くせず父がその全てをやっているとしたら、
娘にとって育児は男のやる物だと刷り込まれる可能性が高い。それは、
子を持つとしたら自身が産むという選択になる女性にとって幸せな事なのだろうか。
まぁとにかく、
娘の通う保育園でもお姉ちゃん達は年下の子らを甲斐甲斐しく相手して、
特にウチの子は、
クリクリの目に豊かな頬、
球状の輪郭におちょぼ口…
まさか、
彼女らにとって娘は、
…リアルねねちゃんなのでは…