暴力的甥に呪いをかける。
姉貴は昔から、優等生だがすぐ手が出る。
そんな姉が年の瀬、小6の一人息子と一緒に旦那を置いて帰省。
旦那さんは優しい人だけれど、それ故あまり息子を注意せず、姉貴は溺愛する反面、言う事を聞かない息子をすぐビンタしていたようだ。
そして息子が小6となった今は、息子が姉貴に手を上げる様になり、
昨夜も息子を辱める様なジョークを言おうとした姉貴の口をビンタで封じて、当然殴り合いの喧嘩になる。
見かねて僕は甥っ子に、暴力はダメだよ、と言うと「だってママがいつも先に殴ってくるから」というし、それに対して姉貴は「あなた(甥)が言う事聞かないからでしょ!」と。
わかった、わかった。
とりあえず二人とも2019年暴力禁止、先に手を上げた方が負けな。
と言っても不服と言わんばかりの姉貴。甥っ子も泣きながらまだ何やら訴えてる。そもそも二人の話だから僕が入ってく事でないのかも知れないけれど、やはり僕は甥っ子に、
いいかい、相手がママでも男が女に手を上げるのは絶対にダメだよ。
君はもっと身体が大きくなる。力も強くなってそんな気なくても、君がママを殴るとママが倒れてそのまま立ち上がってこないかも知れないんだよ。それでもいいかい?
すると甥っ子、今度は姉貴の太ましい二の腕に顔を擦り付けイヤイヤと。
ホントに甘えん坊だな、と心中にため息しながら僕は、クドクド続ける。
あのね、本当に強ければ暴力は振るわなくていいの。
叔父さん(僕)は格闘技やってたからさ、殴り合いになれば普通の人よりは強いけれど、殴り倒していう事聞かせるのは正しいかい?
それで殴られた人は楽しくいう事聞けるかな?
だから本当に暴力はくだらないと叔父さんは思うんだよ。男の力は守る為にある。少なくとも守るべき人を傷付ける為じゃない。
主張があるなら、ちゃんと言葉を駆使して伝える事が大切なんだよ。
そう伝えながら、
話がくどいかなー、と思い彼の目をみると、ちゃんと聞いてる様で、僕はそれが嬉しかった。
もしかすると、こんな説教も僕の自己満かも知れないし、
最近良く聞く「呪い」をかけてしまったのかも知れない。
でも僕はそれで良いと思う。
男なんだから。
男だから。
暴力を振るっちゃいけない。
男女平等じゃなくていい。
男の僕は男である事の野蛮さも知っている。それをコントロールする事を教えるのが父性だと信じている。
叔父が掛けた「男らしさの呪い」が、
彼の暴力のほんの少しでも足枷になれば良いと願うのだ。