クリスマスに自転車を。
恐らくクリスマスに自転車をプレゼントしたい親御さんは少なくないと思い、
ここに記します。
2年前、息子4歳のクリスマス。
モヤっと自転車が欲しいと、息子が洩らした一言を聞き逃さず、じゃあサンタさんに手紙書こっ!と、自転車のイラストを一緒に描いた手紙をツリーに刺した。
そして届いた14インチのBMX。
定価36000円なり。
ストライダーもパタパタ乗る程度の息子には立派過ぎるのでは、との妻の意見を押し切って、半分以上僕の趣味で自転車を選んだ。
補助輪を使うと自転車の楽しさがわからない、という話をネット見て、そういうモノかと補助輪はナシで購入。
サンタが来た朝は、それはもう息子は嬉しそうだったけれど、跨らせるだけで怖がる。しばらくはずっと息子のハンドルを後ろから握り、腰痛と戦いながら息子の補助輪代わりをやっていると三ヶ月もしないウチに、
僕の補助無しで走れる様になった。
嬉しくて舞い上がった僕だけれど、
翌日ふと、
…よく考えたら自転車乗るだけなら、別に普通の事なんだよなぁ…
なんて考えていて、
それから二週間ぶりに息子と自転車を持って公園へ行くと、
「グラグラして怖いっ!」
と全く乗れなくなって、その後一年程乗ったり乗れなかったりを繰り返し、
一度は自転車を嫌いになりかけた。
僕から見たら出来るのにやらない息子に、イライラして酷く怒った事も何度かあった。
そしてある日、近所の小2のお兄ちゃんと一緒に練習させては?と妻からの提案。確かに、
一度だけ同じ組の子が偶然自転車で公園に来た際、あの時はポツリと「楽しい…」と呟いてたな、と思い出した。
そもそも自転車好きなら誰でも分かる「誰かと走る楽しさ」を僕はスッカリ見落としていた。
小2のお兄ちゃんが、スタートの苦手な息子に教える様子を見ていると、
どうやら子供は皆んなココで躓く様で、
「スタート怖いやろ〜?だから、1、2の3!で行くねん!」とお兄ちゃん。
息子、
「いち、にの、さーんっ!」って上手くペダルに足を乗せる。
ちょっと笑ってしまったが、凄い。
なんだろう、子供同士のシンパシーみたいなのがあるんだろうか。
その日から突然普通に自転車に乗れる様になり、先日ついに公道デビュー。
でも以前、
息子が怖くて乗れない時、僕はずいぶん厳しく叱った。
いいか、恐怖心を払拭しろ!
「ふっしょくってなに…?」と言いながら夕焼けの中をキコキコこぐ息子。やがて日が沈み、それでも彼は練習をやめなかった。
その日の夜、僕は風呂場で彼の頭をワシワシ洗いながら話しかける。
厳しくしたけど、パパは夢があってね。
「なに?」
パパ、君と一緒に自転車で走るのが夢なんだよ。もし君が上手く乗れる様になったら、パパと一緒に走ってくれるかな?
そう聞くと、笑顔で
「いいよ!」
と答えてくれた。
今ようやく、数キロの距離を一緒に走れる様になった。
貪欲な僕の夢はまだまだ続く。
パパが60過ぎた頃、君は10代の若者だ。
一緒に厳しい峠を登り、その頂上で息を切らしながらハイタッチしよう。
その頃には、
僕が着いてく方が難しいかも知れないけれど。