川崎病その2
入院二日目の夜。
仕事を終え身支度し21時過ぎに病院に到着。
娘が寝てる間に妻と看病の交代をする。
洗い物を済ませ、
いざ寝ようとすると娘が起き出して、
妻が居ない事に気付いた娘は
檻付きのベッドで野性猿の如く大暴れ。
「マ゛ッマ゛ーっ!ワ゛ー!
あ゛ーっ!」
闇の中、真っ赤に充血したマナコで睨みつけ叫び暴れる。
僕は薬の副作用(そんな副作用は無い)を疑うくらいに
ケダモノの様になった娘に震え動揺してると、
「ダッゴォー、ダッゴォー…」とディストーションの効いた声で叫びながら暴れ回る。そのウチ点滴のホースと心拍計のコードが首に絡まり、点滴の針が抜けそうな危険な状態に。
僕は焦って心拍計を外し、ホースの絡みを解いて暴れる娘を抱き締める。
そりゃ、慣れない場所で診察の恐怖にさらされて、ママが急に居なくなれば不安も頂点に達するだろう。
ゴメンな。
僕はそのまま狭いベッドに蹴られながら添い寝し、
その次は安心したのか抱っこしろと上に乗っかってくる。それも跨ぐワケでなく、足まで揃えてまんまピッタリ。
例えるなら握り寿司の、
シャリとネタだ。
僕らはそのまま一貫の鮨となって朝を迎えた。
朝7時、気がつくと娘は看護師さん達に連行され、採血。フロアに娘の悲鳴が響き渡り、やがて憔悴した娘が戻ってくる。
しかし熱は37度強で落ち着き始め、グロブリンの効果が確認された事だけで少し安心。解熱含め、川崎病への治療は後遺症のリスクをいかに減らすか、という点に絞られてる気がする。
午後のエコー検査は、幼児はとんぷくのシロップで眠らせて行うのだけど、
娘はシロップを半分しか飲まず、起きたままエコー室へ行くと先生方の不安な顔。僕が娘に、ジッとしてられる?と聞くと、なんと「ウン」と頷く。マジかよ、と念押しで、じゃあ頑張れたらチョコパイ食べようね?と言うと力強く頷いた。
実際、検査中もふるふるしながらジッと僕の手を握り、20分近いエコー検査を乗り切った。主治医の先生にもずいぶんと褒められご機嫌。
先生に
「この子はシッカリしてる。気も強いね。将来メソメソ泣く女の子にはならんでしょうね笑」と言われ、
まぁそれはきっと間違いないな…と。
診断の結果は良好で、
少しずつ顔の腫れもひいてきて、
笑顔も出てきた。
先生が「お父さん、まだ油断出来ませんが、でもこの子、小さい身体で本当に頑張ってますよ。」と仰ってくれた事を思い出しながら一人ベッドで遊ぶ娘を見てたらまた泣きそうになって、思わず抱き締めると
「イヤーっ」
え…
ま、まぁ、とにかく元気出てきたようでなによりです。