たった独りで謝罪する六歳児。
家で仕事したくて少し早めに帰宅すると、玄関にオモチャがパンパンに入ったゴミ袋。そして、
なんだか妙に静まり返ったダイニングで息子と妻が食事している。
ん?なんかあった?と聞くと振り返った息子は泣き腫らした目に、また涙が滲みそう。
僕はすぐ彼の横に座り、どうした?ママに怒られたの?と聞くと頷きもせず僕の胸に頭を突っ込んできた。
パパ、これから書斎でお仕事するから、お話したくなったらおいで?
そう言って、僕は書斎で仕事を始める。
1時間も待たないウチに気配を感じて振り返るとモジモジとした息子が立っていた。
おいで。
そういって膝に乗せた息子は、少ない語彙で自分の罪を打ち明ける。
要は、オモチャをすぐ片付けられずに、ママに怒られて全てのオモチャを棄てられそうになったらしい。
そのママの剣幕やたるや、想像に難くない。
そっか、次はお片付け出来るだろ?と聞くとウン、という。
続けて、
でも大好きな人にそんな風に怒られたら辛いね、分かるよ。パパも耐えられないと思う。…一緒にママに謝りにいこう?
僕がそういうと、頷いてからまた首を振り、
「僕が1人で謝りに行ってみる。」
と。
そ、そうか、分かった。じゃパパは後ろからついていくわな。
彼は一人、キッチンへ向かい、
「ママっ、さっきはちゃんとお片づけ出来なくてゴメンナサイ。」と。
当然妻はそれを許すワケだけれど、
僕は何より彼が「独りで行く」と言った事を評価したい。
大した責任感だ。
妻の許しを得て週末オモチャの整理をパパと二人でやる事になったワケだけど、
一番切羽詰まった時に「自分で行く」
という気質は危険かも知れないけど、なんだか男親としては芯の太さを感じて、
君は男の子なんだな、と抱きしめた。
男らしさを否定する人も中にはいるだろう。それが先天的か後天的か、
どっちにしてもこの歳で自身の責任を自身で償おうとする彼に、
僕が願う未来への期待は、無謀では無いと思ってしまうのだ。